新任社長が陥りやすい問題のひとつに、「転移の罠」と呼べるものがある。
従業員は、彼らが思い描く理想の姿を新社長に投影する。
自分達の理想や願望、妄想といったものを投影するのだ。
ちょうど子供の頃に全能の父親に抱いたような期待と感情を、新社長に対して抱く。
父親に対する感情を、無意識に新社長に移転する。
これは無意識(潜在意識)のレベルで起きることなので、非常にパワフルだ。
意識できれば制御ができる。
しかし無意識に起きることは、意識ができるまでは制御できない。
特に業績が悪い時や、逆に急激な成長の時など、この傾向は顕著になる。
従業員は自分達の不安を解消し、安心感をもたらす対象として、新社長に依存する。
このような心理状態では、新社長が喜ぶような情報しか提供しないようになる。
期待感で歪曲された、客観性に欠ける情報しか新社長には届かないことになる。
その結果、新任社長の周りには「イエスマン」ばかりが集まることになり、
現実が見えなくなる。
新任社長にとって、このような社員からの盲目的な期待感にどう対処するかが課題である。
そのためには、「自分は何者か」と常に問い続けることだ。
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