塩沼亮潤 大阿闍梨の講演を聞きました。
吉野山金峯山寺1300年の歴史で2人目となる、
「大峯千日回峰行」を満行されたお坊様です。
この行は、大峯山までの往復48キロの道のりを、
一日一往復、1000回行うもので、
5月から9月の間と決められているため、
9年間かけて行うものです。
いったん行に入った者は途中でやめてはいけない
という掟があり、万一途中でやめる時には、腰に携えた短刀で
腹をかき切って自害するという、厳しい行です。
この行の最中に、阿闍梨は何度か生死をさまよう事態に陥ります。
そのようなときに彼を支えたのが、しつけが厳しかった母親の言葉でした。
39度の高熱を出し、意識がもうろうとなりながらも歩き続け、
自分が転倒したことすら気がつかない状態で
彼を立ち上がらせたのは、実家を旅立つ朝に、
もうお前の帰ってくるところは無いと
彼の食器をゴミ箱に投げ捨てて言った言葉、
「どうせお坊さんになるのだったら、
砂をかむような苦しみを味わってきなさい。
かあさんのことは何の心配もいらないから。」
もうろうとする中、倒れて口に入った砂を噛みしめ、
我に返り、こうはしていられない、と立ち上がることができたのです。
彼の行の中で、何度も母親のしつけや言葉に救われた場面があります。
母親の言葉や教えは、人の人生を深いレベルで左右する、
重要な役割を果たします。
ファミリービジネス創業者の仕事観や人間観には、
その母親の価値観が大きく影響しています。
ファミリービジネスにおける女性の役割、
特に「母親」の役割は、とても大きいものがあります。
コメント