ファミリービジネスをホリスティックな観点から分析した研究論文をご紹介します。
"Studying the Family Enterprise Holistically"
Rodrigo Basco
Maria Jose Perez Rodriguez
Universdad Complutense de Madrid, Spain
FBR March 2009
1 概念的枠組み
(ア) 仮説1:ファミリービジネスには(1)戦略、(2)取締役会、(3)人事、(4)承継の意思決定に関して、経営とガバナンスに二つの視点、志向がある
(イ) 仮説2:4つの分野についてファミリーとビジネスを合わせて考慮すると、ファミリービジネスはビジネスだけに重きを置くものとファミリーとビジネス両方に重きを置くものに分類できる
(ウ) 仮説3:経営とガバナンスの方針がファミリーとビジネスを同程度に反映するファミリービジネスは、ビジネスだけを強調する会社と比べて、ファミリーでの成果と同様、ビジネスにおいてもより良い業績を上げる
(エ) ホリスティックなアプローチの必要性
① ファミリーとビジネス 二つのシステムの混在
② 二つのシステムのガバナンスをみる
(オ) 4つの研究分野
① 戦略プロセス、ガバナンス、人事、承継
2 モデル
(ア) ファミリー志向とビジネス志向のバランス、統合
(イ) 4つの分野に反映:パターンによってグループ分け
(ウ) グループによって業績に違いが現れる
3 手法
(ア) ファミリーメンバーが取締役かマネジメントに参加、あるいは、株がファミリーメンバーに共有されている
(イ) 従業員規模:50名~500名
(ウ) データベース:スペイン企業16,000社から4,450社を抽出
① 従業員サイズで絞る
② 回答数:732社
(エ) 電話調査:2004年7月~10月、
2回から5回の電話、対象:役員、社長、Managing Director
(オ) データの正当性を確認
(カ) 平均 創業25年、従業員110名
4 結論
(ア) 仮説1は検証された
① 因子分析、主成分分析
(イ) 仮説2
クラスター分析:仮説1の軸でグループ分け:3つのクラスター
① 未成熟ファミリー企業:205社
② ファミリーエンタープライズファースト:228社
ファミリーの傾向の方がビジネスの傾向より高い値
「承継」はこの差が少ない
③ ビジネスファースト:189社
(ウ) 仮説3:ファミリーの成果とビジネスの成果
① 仮説3は検証された
② ファミリーエンタープライズファーストがファミリーの成果が一番高い
③ ビジネスの成果は、ファミリーエンタープライズファーストもビジネスファーストも差が無い
5 まとめ
(ア) ファミリービジネスは均一ではない
(イ) ビジネスとファミリーを意思決定に取り入れる程度によってグループ分けされる
(ウ) ファミリーとビジネスの両方、少しファミリーを強めにするファミリービジネスがファミリーの成果が高く、ビジネスファーストと同程度にビジネスの成果を上げる。
6 今後の研究への示唆
(ア) ファミリーエンタープライズファーストとビジネスファーストの差をさらに探究(ソーシャルキャピタルセオリーを用いて)
(イ) ファミリー企業のプロフェッショナル化への道筋
(ウ) 何が3つのタイプの違いを生み出すのかの研究
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