The Effects of Goal Orientation and Client Feedback on the Adaptive Behaviors of Family Enterprise Advisors
Walter D. Davis (The University of
Mississippi, University, MS, USA),
Clay Dibrell (The University of
Mississippi, University, MS, USA),
Justin B. Craig (Northeastern University,
Boston, USA),
Judy Green (Family Firm Institute, Inc.,
Boston, MA, USA)
概要
ファミリービジネスアドバイザーは、ビジネスとファミリーが重なりあう、複雑な課題に取り組むものである。彼らが創造性に富むソリューションを提供するための能力・戦略を、アドバイザーの目標の指針 [学習志向、権威(証明)志向、回避志向] の違いと、そこから得られるクライアントのフィードバックの質の違い、その結果としてのアドバイザーの自己改善、行動革新の度合いを調査している。
アドバイザーの姿勢(goal orientation)のうち、学習志向(learning orientation)とは、既存の知識、技術に磨きをかけ、更に新しいスキルを学ぼうとする姿勢である。クライアントの明示的、暗示的フィードバックから学ぼうとする姿勢である。一方、権威(証明)志向(proving orientation)は、自己のスキルや知識を周りが認めることに意識が向いているアドバイザーの姿勢であり、回避志向(avoidance orientation)は、自己のスキルや知識の不足の発覚を恐れる姿勢である。
調査は231名のFFI (Family Firm Insittute)のメンバーに対して行われた。
その結果、以下の事柄が、統計的に有意であると検証された。
- 学習志向のアドバイザーはフィードバックの質を高め、権威指向のアドバイザーは質を低める
- 学習志向のアドバイザーは質の高いフィードバックに基づき、自己改善と行動革新を促進する
- 権威志向のアドバイザーは質の高いフィードバックがあっても自己改善と行動革新を低下させる
調査結果を踏まえ、筆者は以下のように考察している。
●ファミリーとビジネスの重なる複雑な課題の中で、学習志向が他の志向よりも適切なソリューションを提供できる
●課題の複雑さとファミリー企業のオープンさを加味すると、上質なフィードバックを得るための4つのパターンが考えられる。
1) 複雑な課題で、クライアントのファミリーがオープンの場合:学習志向で臨み、クライアントの自発的なフィードバックを受け止める
2) 単純な課題で、クライアントのファミリーがオープンの場合:権威(証明)志向で臨み、クライアントの自発的なフィードバックを受け止める
3) 複雑な課題で、クライアントのファミリーが閉鎖的の場合:学習志向で臨み、積極的にクライアントのフィードバックを求める
4) 単純な課題で、クライアントのファミリーが閉鎖的の場合:権威(証明)志向で臨み、積極的にクライアントのフィードバックを求める
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FBAAがファミリービジネスアドバイザー資格認定プログラムで提唱する、「アクションリサーチ」のスタンスは、
この論文で言う、学習志向に通じるものがあります。初めて見る者のように、好奇心をもってクライアントに接することが大切なのだと思います。
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