欧米のファミリービジネス研究者の間で、日本の婿養子の慣習が話題になることがあります。
日本では同族企業で婿養子が後継者になることは珍しいことではありません。男子が生まれなかった場合、あるいは男子が経営者にふさわしい能力を持たない場合は、婿養子が後継者になることで事業を継続させてきたのが日本の長寿企業の歴史です。中には、直系の男子にはあとを継がせず、必ず婿養子が後継ぎになることを代々の習わしとしている同族企業もあるほどです。
欧米の研究者にとって婿養子の制度が奇異に映るのは、欧米のファミリービジネスは血のつながりを非常に大切にしているためです。血族を最優先にした財産と経営の継続が欧米のファミリービジネスの大前提になっています。それに比べて日本では血族以上に「イエ」の継続を大前提としてきました。諸外国と比べて日本に長寿企業は多いのはこの点にも要因があるのではないでしょうか。
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