スペイン・マドリード大学のRodrigo Basco氏とMaria Jose Perez Rodriguez氏チームのファミリービジネス研究をご紹介します。
彼らは従業員50名~500名のスペインの同族企業732社について、戦略、取締役会、人事、事業承継に関する意思決定の観点から、ビジネスだけに重きを置く「ビジネス志向」の会社と、ファミリーとビジネスの両方に重きを置く「ファミリーエンタープライズ志向」の会社に分類し、ビジネスとファミリー、それぞれの成果を比較しました。
分析の結果、ファミリーエンタープライズ志向の会社は、ビジネス志向の会社に比べて、売り上げ高・成長率、経常利益率、キャッシュフロー、マーケットシェアなどのビジネス上の成果は決して引けをとらないものでした。さらには、ファミリーの資産額、安心感、家族の忠誠心、一体感、次世代の育成、地域社会での名声などのファミリーの成果はビジネス志向の会社よりも高いポイントが示されました。
戦後長い間、経営学者やコンサルタントはファミリーとビジネスを別のものとして扱い、ビジネスからファミリーを排除すること、逆にファミリーにビジネスを持ち込まないことを理想としてきました。しかし、ファミリービジネスの研究の結果、ファミリービジネスの研究者やコンサルタントにこのような「分離派」のスタンスをとる者はほとんどいなくなり、ファミリーとビジネスを一体のものと考える「統合派」が主流になりました。
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