「ファミリー性(Familinessファミリネス)」(※1)という言葉があります。これはファミリービジネス研究者による造語ですが、成功するファミリービジネスには、競争力の源泉となるものがあり、それはオーナー家に起源をもつものです。ファミリーが持つ競争優位性の要素のことをファミリー性(ファミリネス)と呼んでいます。
正式な定義は「ファミリー、個人およびビジネスの間のシステム相互作用から生じる、企業に固有な資源の束」(※2)となります。つまり、ファミリーが関与することで生まれる経営資源の総称です。
ファミリー性(ファミリネス)は創業の精神やファミリーの価値観、文化を根源として、長い年月を通してビジネスの文化や価値観、いわば暗黙知として根付いているもので、一朝一夕に生まれるものではありません。だからこそ、他社には真似ができない、その企業特有の資源として培われ、競争力の源泉になるものです。
優秀なファミリービジネスでは、顧客第一主義、高品質・低価格の追求、明確な事業戦略、従業員の長期的な育成、長期的な視野、ブランド価値向上のたゆまぬ努力、市場、顧客に対する強い探究心、柔軟な組織運営、社内外の高い信頼関係、高いコミュニケーション能力など、創業家が代々大切にしていることが、ビジネスの文化として根付いています。
※1 『ファミリービジネス』)嶋田美奈著、後藤俊夫編 白桃書房2012
※2 A Resource-Based Framework for Assessing Strategic Advantages of Family Firms, Timothy G. Habberson and Mary L.Williams, 1999
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