代々会社の株を分けていく、分散オーナー型の問題点は、均等に株を持つ子供たちが、能力、情熱、知識や教育レベルを均等に持っているわけではないところにあります。
株主として会社にどう寄与するか、会社の状況をどの程度理解しているか、親族内で株を保持することにどの程度コミットしているか、など様々な問題が表出してきます。さらに世代が進むと、ひとりあたりの持ち株比率が極端に下がり、ファミリーとして会社にどのように影響力を行使できるのかが見えにくくなっていきます。分散型をとる場合、単独オーナー型以上にファミリーのまとまりが必要になるのはこのような理由からです。
欧米においては、かつては多かった単独オーナー型ですが、ファミリービジネス研究が進むにつれて分散型オーナー型をとるファミリービジネスが増えています。その理由のひとつに、ファミリーガバナンスのための方策が整えられてきたことがあります。さらに、種類株式や、信託などの制度によって、株を分散させながら議決権を集約させられる方策が整えられてきたことも分散オーナー型を進めやすくする要因です。
ファミリーガバナンスをしっかりと構築することによって、分散オーナー型のデメリットと思われたことが、逆にファミリービジネスの強み転換できる条件を整えることができるのです。
最近のコメント