ファミリービジネスの学会の話です。
Family Firm Institute(FFI)は今年で21周年ということ。
ファミリービジネス研究も本格的に始まったのが1980年代と、
ビジネス関連の他の分野に比べてまだ若い分野です。
そういうこともあってか、ファミリービジネスの
コンサルティングにかかわる人は、それぞれ専門のバックグラウンドを
持っています。
弁護士、税理士、ファイナンシャルプランナー、
銀行家、経営戦略家、組織開発の専門家、
カウンセラー、セラピストなど。
会議の場で自己紹介しあうときも、
「あなたの専門は?」
と聞くのがお決まりの挨拶になっています。
このことがまさにファミリービジネスコンサルティングの
本質を物語っています。
弁護士の立場で見えるファミリービジネスは
誰がオーナーシップ(所有権)や支配権を持つか、
そのオーナーシップをどう承継させるか、
というもの。
税理士や銀行家、ファイナンシャルプランナーが見る
ファミリービジネスは、会社やオーナー一族の
効率的な財産管理や運営はどうあるべきか、
とういもの。
企業戦略家や組織開発家は、ファミリービジネスの
ビジネス面の成果をいかに高めるか?
というもの。
そして、カウンセラー、セラピストは、
ファミリービジネスにまつわる人間関係を
いかに望ましいものにするか、
というもの。
専門分野によって、まったく違うものに見えるほど、
ファミリービジネスは複雑な生き物です。
この複雑なファミリービジネスを、
「企業」、「ファミリー」、「オーナーシップ」の
3つのサブシステムがからみ合っている、ひとつのシステムとして
とらえるのが、ファミリービジネスコンサルティングの
根底に流れるものの見方あり、
この3つの側面を、総合的にとらえがらアドバイスを行うのが
ファミリービジネスコンサルタントの基本的なスタンスです。
様々な専門分野の境界を越えて、もっとも適切なアドバイスを
考えようとする、学際的なアプローチでもあるのです。
このような背景から、この学会には様々なジャンルの専門家が
集まっている訳です。
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