私が携わるほとんどの経営者にとって、自分の引退、特に創業社長にとっての引退は、
考えたくない問題であるようです。
私自信も、また、現役時代の後継者の仲間も、父親と計画的に引退、承継という事業をすすめた人はまれでした。
残念ながら、高齢になっても引退を考えず、体力、判断力が衰えて老害を撒き散らす方が多いのです。
これは、「承継の恐れ」という心理が働くためです。
- 自分の死や引退について考えたくない。
- 子供の中からひとりを選ぶことをしたくない。
- 名誉や権力を手放したくない。
- 引退後の生活が想像できない。
- 自分がいない会社がイメージできない。
会議などで話が長く、昔話をしつこくする、ちょっとしたことで感情的になるなど、
老害の兆候が出たら要注意です。
こうなると社員の士気は確実に衰えます。
社長に引退を勧めるような人が周りにいないときは、なおさら大変です。
このような事態になる前に、ファミリービジネスコンサルタントがお薦めするのは、
- 家族会議を定期的に開き、社長の引退など一族の問題を話し合える場を作る。
- 事業承継計画を立て、計画的に後継者を育成し、社長も引退の準備をする。
ということです。
ある社長は、「息子は細かいことでも逐一俺に相談に来る。
俺がいなかったらどうなるのだ?」といいます。
息子さんにに聞いて見ると、「社長に根回ししておかないと、
あとで2時間は小言を聞くことになる。最近社長は話が長く、くどい。」
とのこと。
以前の同業者の社長で、3年後に息子に交代すると宣言し、
交代後はきっぱりと会社に来なくなった方がありました。
周囲からは立派な人だと評判になりました。
やはり、事業承継は偉大な社長と言われるための最後のテストなのです。
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