法師旅館の第46代当主、法師善五郎氏の講演を聞きました。
ファミリービジネス研究所の勉強会です。
以前ご紹介した、米国のFamily Business Magazineという雑誌で、
世界の長寿企業ランキングで世界一古い企業として紹介された法師旅館は、
718年(養老2年)の創業です。
1300年の歴史を背負い、この困難な時代に家業を守り、
次世代に引き継いで行こうとする強い決意が聞かれるものと参加したのですが、
法師氏は、そのような強い決意は表に出さず、気負いを感じさせない、
禅僧の講話を聴いたような気持ちになる講演でした。
「1300年の歴史は今をどう生きるかを考え、今ひと時を大切にするためにある」
「困難に際しては、まず先祖に手を合わせて感謝する」
こういった法師氏の言葉に、1300年の歴史を次の世代に繋ごうとする
奥深くにある強さを感じました。
法師旅館には、特に書面に著された家訓は無いとのことですが、
代々引き継がれた言葉に
「みずからまなべ」
と言うことがあるとのこと。
これには、「自ら学べ」という意味と、
「水から学べ」という意味があるとの事です。
「水五訓」というものを紹介していただきました。
一。自ら活動し他を動かしむるは水なり
一。常に己の進路を求めて止まらざるは水なり
一。障害に逢ひて激しく其勢を百倍し得るは水なり
一。自ら潔らかにして他の汚を洗ひ清濁併せ容るるの量あるは水なり
一。洋々として大洋を充たし発しては蒸気となり雲となり雨となり雪と変し
霰(あられ)となり凝ては玲瓏(れいろう)たる鏡となり其性を失はざるは
水なり
この五訓の発祥については諸説あるようですが、この意味するところ、
(水のようにしなやかに、自由に、強くあること)はまさに
1300年の年月を生き抜く秘訣だと感じました。
法師旅館も、46回目の事業承継という試練の時期を迎えています。
この承継が法師旅館にとって、実り多いものであり、
世界中のファミリービジネスに更なる勇気を与えるものでありますように
かげながら応援しております。
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