2008年にFBRに掲載された、老舗企業の立て直し戦略に関する論文がある。
ファミリービジネスの立て直しの時に注意すべき点を示唆している。
ターンアラウンド戦略には、
ステージ1:組織改革
- トプマネジメントの交代
- 外部の専門家のアドバイス
- 組織の縮小(リストラ)
ステージ2:新しい組織での実行
の段階があるが、この調査はステージ1に焦点を当てている。
倒産の危機に瀕したが、見事に立て直しを成功させた二つの企業(従業員数120名、200名)の事例を
詳細に調査し、以下のような提言を行っている。
1. ファミリーのトップマネジメントのビジネスに対する強いつながり(Tie)は、老舗ファミリー企業(Established Family Firms)が 組織の危機に際してトップマネジメントの交代を開始し、実行する能力を減退させる。
2. 交代要員が限られていることは、組織の危機に際してトップマネジメントの交代を開始し、実行する能力の制約になる。
3. ファミリーのトップマネジメントのビジネスに対する強いつながりは、コンセンサス志向と紛争回避を強めるため、組織の危機に際したトップマネジメントの交代を開始し、実行する能力の制約になる。
4. 老舗ファミリー企業のインフォーマルなマネジメントシステムは、組織の危機に際したトップマネジメントの交代を開始し、実行する能力の制約になる。
5. 老舗ファミリー企業の内部指向は、コンサルティング会社などの適切な外部のサービスを見出し、組織の危機に対応する専門的な知識、経験を求める能力の障害になる。
6. 老舗ファミリー企業の内部指向は、組織の危機に対応するために 外部の人材を経営幹部として採用する際に障害になる。
7. 老舗ファミリー企業の構成員の利他的な傾向は、組織の危機に対応する際の緊縮戦略の能力を高める。
8. 老舗ファミリー企業構成員の長期的な視野は、組織の危機に対応する際の緊縮戦略の能力を高める。
長期的な視野に立ち、会社存続のために先行世代が自発的に退任して後継世代に再生をゆだねることは、
ファミリービジネスならではの立て直し策ではないでしょうか。
出典:Turnaround Strategies in Established Small Family Firms
John Cater College of Business, Nicholls State University, Thibodaux, LA, 70310, [email protected]
Andreas Schwab College of Business, Louisiana State University
Family Business Review March 2008 vol. 21 no. 1 31-50
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