ファミリービジネスの方が非ファミリービジネスよりも業績が良いことをは認められた事実ですが、
そのことを説明するため、様々な観点から研究が行われています。
そんな研究の一つに、
ファミリーのビジネスへの参加が高まるほど創業精神や経営理念に対する意識が高まり、
その結果、競争優位性が高まり、業績が良くなる。
という仮説を検証した研究があります。
- 仮説1a:ファミリーのオーナーシップとコントロールのレベルが高いほどより倫理志向が高まる
- 仮説1b:ファミリーの多世代の参加のレベルが高いほどより倫理志向が高まる
- 仮説1c:ファミリーの価値観の一貫性が高いほどより倫理志向が高まる
- 仮説2 :倫理志向が高い会社ほど業績が良い
- 仮説3 :企業の倫理志向は、ファミリーの参加の3つの側面と企業の業績との関係を仲介する
というそれぞれの仮説を、米国526社の中小規模のファミリービジネスを対象に検証しました。
「倫理志向」については、何が倫理的で、何が倫理的でないか、といった議論までは踏み込まず、
この調査では、社内で理念や価値観に関する会話の頻度がどれほどあるか、を尺度としています。
ファミリーのビジネスへの参加と業績の関係を、そのパイプ役として倫理志向を位置づけることで
説明しようという研究です。
その結果は、
仮説1aを除く、全部の仮説が検証されました。
つまり、ファミリーのビジネスへの参加度合いが高いほど、倫理志向が高まり、業績が良くなる
ということです。
特に興味深いのは、持ち株比率よりも、
- 多世代のファミリーメンバーが参加していること、
- ファミリーの価値観に一貫性があること
これが倫理志向、ひいては業績に強く関係する、という点です。
「ファミリー力」が強いビジネスを作る、ということがここでも証明されています。
ちなみに、仮説1aは、ファミリーの持ち株比率は、倫理志向とは反比例するという結果です。
他の研究で、「持ち株比率が高すぎても、低すぎても業績は良くない、
ファミリーの持ち株比率が60%~80%の時に最も業績が良い」、というものがあります。
仮説1aもこの調査結果と関係があるようにも思えます。
出典:
Examining the Relation Between Ethical Focus and Financial Performance in Family Firms
Ernest H. O'Boyle Jr Longwood University, Farmville, VA, USA
Matthew W. Rutherford Virginia Commonwealth University, Richmond, VA, USA
Jeffrey M. Pollack University of Richmond, Richmond, VA, USA
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