昨年は大王製紙の三代目の事件が大きな話題になりました。
ニュースでは三代目個人の問題として取り上げられていました。
私も2つのテレビ番組からインタビューを受け、三代目の特殊性について話しました。
確かに三代目個人の暴走がこの事件のニュース性のある部分ですが、
200年企業を目指すファミリービジネスのオーナー経営者に考えていただきたいのは、
別のポイントです。
それは、
ファミリーガバナンス
です。
社内の非ファミリー幹部を始め、ファミリーのメンバーも、
この三代目の暴走を誰も止められませんでした。
優秀さに欠ける後継者や、
今回のように優秀すぎるためにバランスを欠いた経営者など、
7代、200年の間には、このようなことがあることを想定しておかなければなりません。
京都の老舗の家訓には、
わがまま、身勝手な主人に対して、
親族・分家・別家が連合して異議を申し立て、
それにも従わない場合には、押込(座敷牢)・隠居を申し付けること、
というガバナンスの仕組みを明記しているものがあります。
井川家、大王製紙には、このような仕組みが作られていなかったのか、
仕組みはあったが機能しなかったのかはわかりませんが、
三代目の暴走を早い段階で察知し、対処することが必要でした。
通常のファミリービジネスでは、
非ファミリー幹部は、創業家に対して意見を言いにくいものですが、
江戸時代の商家は、非ファミリー幹部を「別家」として、ファミリーに準じる扱いをし、
ファミリーに対する発言を奨励しました。
欧米のファミリービジネス・コンサルタント達は、
この「ファミリーガバナンス」を重視し、
ファミリー評議会やファミリー役員会を推奨しています。
我々も、江戸時代の先人の知恵に習う必要があるようです。
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