多くのファミリービジネスで、兄弟の中で仕事を引き継ぐひとりの子供が
会社の株(所有権)も引き継ぐという形が一般的です。
事業承継のアドバイスを行う税理士や弁護士のほとんどが、
「複数の子供に株を分散させるな、社長を引き継ぐ子供に集中して渡せ」
と言います。
相続税に関する専門家のアドバイスには、
たとえ家族であっても、株は分散させないのがベスト、
という暗黙の大前提があるようです。
この大前提を鵜呑みにする前に、ビジネスファミリーとして
次の世代、さらにその次の世代に対して、
どんな夢を描きたいのかを考えて見てほしいのです。
兄弟姉妹の中の最も優れた一人だけが「単独オーナー」として事業を引き継ぎ、
又次の世代もまた優れた単独オーナーにひきつがれる、
という形で発展していくことなのか、
それとは別に、
兄弟姉妹が平等に所有権を分け合い、合意に基づいてリーダーを決め、
他の兄弟姉妹は、会社に入るにせよ、別の会社に行くにせよ、
株主として協力し合う、「兄弟姉妹共同所有」の形態をとり、
次の世代にはその子供達も株主になる、「いとこ集団所有」になって
多くの子孫に会社を支えて行って欲しいのか。
このことがファミリーの共通の夢として、渡す側と渡される側に分かち合われ、
ファミリーのエネルギーの源になるようなビジョンとして引き継がれることが
大切です。
その夢を描き、どのような所有形態がその夢を実現させるのかを
考えることが事業承継計画の最初の一歩なのです。
ファミリーの共通の夢は、子育ての形も変えるものになります。
例えば、兄弟で相談しながら物事を決めていくように育てるか、
あるいはお互いに競争し合う関係から能力を高めるように育てるのか。
実は、そのような時期から事業承継の準備が始まっています。
あなたにとって、7代先の子供たちをもワクワクさせ、
彼らの強い原動力になるような、ファミリーの共通の夢は何でしょう。
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