ファミリービジネスの世代交代の支援は
数年間にわたる取組になる。
次期経営チームの育成や
意思決定機関の再構成など、
ビジネス面の支援は当然だが、
現社長と後継者の心情の変化に寄り添う支援が
自然に起きてくることになる。
世代交代は、10年の計画を立てて臨むべき、
とクライアントにはお話している。
10年の長い道のりだが、
心情的な側面を見ると、
世代交代はほんの一瞬の出来事で起きる、
と思えることが多い。
後継者に定期的に会っていると、
ずいぶん前回と違う現れである、という印象を持つことがある。
それまで前社長と戦っていた人が、
「勝つか負けるか」ということとは全く違う次元に立っているのだ。
しっかりと大地に根を張り、太い幹を持つ存在に感じられる。
時には本人が、父親と戦っていたのかさえ思い出せないことすらある。
ある人は、これまで社長(父親)に拒否され続けてきた改革案が
ついに無条件で受け入れられ、
自分が木刀ではなく真剣を持っていることに気付いた、という。
別の人は、自己を省みる研修で社長(父)は自分のために戦ってきてくれたと気づき、
感謝しか思い浮かばなくなった、という。
出来事は様々だが、
ここには心情面での大きなシフトがある。
右へ行くか左へ行くかではなく、
一つ上のステージに移行するようなシフトだ。
この瞬間を境に、現社長(父親)は引退の時期を知り、
経営チームや従業員は新しいリーダーを認める。
世代交代に連れ添う者として、
この瞬間を見ることは至上の喜びであります。
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