イエ型集団の意思決定システムとして、以下の2点が特徴的です。
1.階統制の滲み出し
階統の上下が互いに浸透しあうコミュニケーション、例えば一族・家人と郎従が互いに相談しあう、郎従と所従・下人とが相談しあうというように、階層の上下の壁をできるだけ低くして、各階統レベルにおける合議を行う慣習が強くありました。
2.根回し型満場一致
イエ集団の決定は、各成員が本来同質であることへの強い期待の上に成り立つ、満場一致が原則でした。そのためには非公式の会合、つまり根回しが満場一致を実現させる効果的な方法でした。「根回し型満場一致方式」が意思決定の原則です。欧米の「公開討論型多数決方式」と明らかに対極的なアプローチです。
欧米のファミリービジネスのコンサルタントたちは、オーナーファミリーの意思決定においては、ファミリーの絆を維持発展させるため、多数決ではなく満場一致方式を推奨しています。イエとオーナーファミリーは長期的な志向を持つという点で共通するのかもしれません。
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