ファミリービジネスの方が非ファミリービジネスよりも業績が良いという研究者の発見を皮切りに、この20数年で、欧米でファミリービジネスの研究が進んできました。
いくつもの調査によって、ファミリービジネスの業績の良さが確認されていますが、まず世界的な視野で見た調査結果を挙げてみます。
図1は、イギリス、フランス、アメリカのファミリービジネスと非ファミリービジネスの資本効率の指標、ROEを比較したものです。各国でファミリービジネスの資本効率が非ファミリービジネスをしのいでいることがわかります。
図1 各国のファミリービジネスと非ファミリービジネスの資本効率(ROE)の比較
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ファミリービジネス |
非ファミリービジネス |
イギリス |
48.77% |
34.07% |
フランス |
25.20% |
15.80% |
アメリカ |
58.59% |
48.26% |
イギリス:非上場のファミリー企業と非ファミリー企業を比較(97年~99年)
フランス:製造業1000社から業績と規模が類似するファミリー企業と非ファミリー企業を47組を比較(82年~84年)
アメリカ:S&P500社から銀行と公益企業を除いた403社をファミリー企業と非ファミリー企業に分けて比較(92年~99年)
出典:『日経ベンチャー』2007年4月号
ファミリービジネスの業績が良いということは、日本にも当てはまります。ファミリービジネス白書2018年によると、日本の上場企業のなかでのファミリービジネスと非ファミリービジネスを比較すると、ROA(総資産利益率)は以下の表のとおりになります。
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2016年3月期 |
2017年3月期 |
ファミリービジネス |
6.83% |
6.66% |
非ファミリービジネス |
5.35% |
5.44% |
明らかにファミリービジネスのほうが業績が良いことがわかります。
世界一の小売業や、世界一の自動車メーカー、世界一の穀物商社、世界一の家具メーカーなど、世界一の規模を誇る企業にファミリービジネスが名を連ねています。また、エルメス、フェラガモ、リーバイス、シャネルなど、誰もが知っているブランドにもファミリー企業が多いのです。
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